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崖地を生かす擁壁基礎による、傾斜庭とフロアの関係性
愛知県名古屋市における新築住宅の計画である。計画地は丘陵地帯の一角にあり、ほぼ全体が傾斜であった。周辺の建物を眺めてみても、大掛かりな造成や擁壁と併せて計画されたものがほとんどである。斜面地自体は安価であるが、造成して住宅を建てることは、膨大な費用がかかる上に、土地の性質を無視しているようで設計者として受け入れられなかった。
まず、工事の合理化を図るために、斜面の最下部に整形の建物を配置する計画とした。斜面側のベタ基礎の立ち上がりのみ通常より1mほど高くし、それを土留め擁壁とすることで、造成を最小限にとどめた。これにより地面とフロア高さの関係にズレが生み、1階では腰高ほどの高さで、2階では通常ではありえない近さで斜面地とのつながりをつくり出した。土留めの擁壁は意匠として1Fの内部に表し、大きめの窓台を取り付け、窓辺を居場所とした。1階は天井高さを抑え、寝室や水廻りをまとめ、2階は小屋組みを表した開放的なLDKとした。通常の庭は水平な奥行を持つが、この住宅の2階の窓からは傾斜地の風景が立面的に飛び込んでくる。傾斜地は南に位置し、よく日が当たり植物の生育環境としても適している。施主は傾斜地とともに暮らしていくことに前向きで、ここで野菜を育てたり、BBQをしたりと楽しそうに夢を語ってくれたのが印象的であった。
所在地
愛知県名古屋市
敷地面積
524.51 m²
延床面積
107.66 m²
構造形式
木造
構造設計
寺戸巽海構造計画工房
施工
豊中建設
愛知県名古屋市における新築住宅の計画である。計画地は丘陵地帯の一角にあり、ほぼ全体が傾斜であった。周辺の建物を眺めてみても、大掛かりな造成や擁壁と併せて計画されたものがほとんどである。斜面地自体は安価であるが、造成して住宅を建てることは、膨大な費用がかかる上に、土地の性質を無視しているようで設計者として受け入れられなかった。
まず、工事の合理化を図るために、斜面の最下部に整形の建物を配置する計画とした。斜面側のベタ基礎の立ち上がりのみ通常より1mほど高くし、それを土留め擁壁とすることで、造成を最小限にとどめた。これにより地面とフロア高さの関係にズレが生み、1階では腰高ほどの高さで、2階では通常ではありえない近さで斜面地とのつながりをつくり出した。土留めの擁壁は意匠として1Fの内部に表し、大きめの窓台を取り付け、窓辺を居場所とした。1階は天井高さを抑え、寝室や水廻りをまとめ、2階は小屋組みを表した開放的なLDKとした。通常の庭は水平な奥行を持つが、この住宅の2階の窓からは傾斜地の風景が立面的に飛び込んでくる。傾斜地は南に位置し、よく日が当たり植物の生育環境としても適している。施主は傾斜地とともに暮らしていくことに前向きで、ここで野菜を育てたり、BBQをしたりと楽しそうに夢を語ってくれたのが印象的であった。
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